旅人

　誰かが言った

　＜旅はいい、いろんな人と出会えるから＞

　また別の誰かが言った

　＜いろんな人との出会いは一瞬、もう2度と会わないかもしれない、それは風のように＞

　旅人は誰かの帰る場所とはなりえない

　旅人はいろんな街でいろんな幸せを見てきた

　帰る場所ああれば人は幸せになれるらしい　

　でも、旅人は明日になればもうそこにはいない、旅人だから

　そんな人を誰が待ちわびるのだろう？

　しかし、旅人は帰る場所を探して旅する

　風は辿り着く場所を探して吹きつづける

　今僕の横を通り抜けた風

　いつ吹くのを止めるのだろう？

　誰か知る人はいるのだろうか？

　誰か共に走る人はいるのだろうか？

　そして一人歩き出す。

　旅人だから。